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つばめ翻訳のブログ

在宅フリーランスで翻訳業をしています。翻訳の仕事、勉強、イベント、読書と言葉について書いています。

市川祐子さんのIR・ESG・SDGsと翻訳に関するセッションを聞いて

前回の記事の最後で触れた、市川祐子さんの『実践!Non-nativeでも投資家に伝わるIRの英語』と題したお話。今回の翻訳祭で一番印象に残ったセッションでした。
 
海外の投資家のために決算関連資料を英語化したいと考えている企業担当者に向けた具体的なプロセスの説明や、市川さんが最初は必ずしも英語が得意とは言えなかったにもかかわらず、どうやって英語力を磨き、楽天のIR責任者として仕事をされていたかといったお話も大変勉強になりましたが、私が特に興味深く感じたのは「ESG・サステナビリティの開示動向」の部分でした。理由は次の3つです。
 
①「機械化しやすい部分も多い決算関連資料の翻訳のなかで、非財務情報には特に人間による翻訳が欠かせない。というのは、パーパスやミッションを企業が持つ『ストーリー』として説得力のある文章で表現する必要があるから」というお話が、人手翻訳にとっての明るい話題に思えた。
 
②人的資本等のサステナビリティに関する情報や、ESG、SDGsの観点を意識することで、自分自身が企業や世の中にもっと興味を持てそうだと思えた。
 
③企業が海外のESGやSDGsに関する情報を収集したり、自社の取り組みを統合報告書などで世の中に発信したりする際に翻訳者としてお手伝いできれば、これまで以上にやりがいや喜びを感じながら仕事をしていけそうだと思った。
 
市川さんのお話をうかがって自分がこういった分野に興味を持てることに気がつき、少しでもいいから具体的に動いてみようと決めました。市川さんのご著書『ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来』のほか、サステナビリティ関連の入門書や、ESGに特化した経営誌『日経ESG』などを読んだり、SNSで関係団体のアカウントをフォローしたり、日経SDGs/ESG会議をオンラインで聴講したりしました(このウェビナーはとても聞きごたえがあり、おもしろかったです)。その結果、市川さんのセッションを初めて聞いたときにはピンとこなかった用語の一部が、翻訳祭配信期限最終日にもう一度視聴したときにはただのカタカナではなく、意味がある言葉として入ってくる実感を持てました。
 
とはいえ、ESGは経営、言い換えれば事業全体に通奏低音のようにかかわってくるものなので、範囲がとても広くて深く、どこまで潜っていけばいいのかわからないくらいだとも感じてます。また、学んでいくにつれ、経営誌や政治のレベルと実務の現場とでは温度差もありそうだという思いもわいてきました。情報を発信する立場(基準を策定する団体、経営者、社員、NGOなどなど)によって、ESGやSDGsの達成度のとらえ方も違ってきそうです。そういった側面も、この分野を学ぶ際の難しさ(奥深さ)になるのではないかと感じています。
 
今後さらに研鑽を続けてサステナビリティ関連を自分の専門分野とし、よりよい社会に向かって、よりやりがいを感じる仕事ができるようになったら最高だなと思っています。そのヒントを与えてくださった市川祐子さんに、心から感謝しています。
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JTF翻訳祭2022 その1

10月に行われたオンラインでのJTF翻訳祭に申し込み、11月末のアーカイブ配信期限までじっくり拝聴しました。
 
秋の始めごろから、今後の翻訳の勉強の仕方や仕事の幅の広げ方について思案しており、家族の将来設計や自分の持続可能性などのことを考慮すると、これまで避けてきたCATツールの導入を真剣に考えるときに来ているのかもしれないと思うようになりました。しばらく前に、何年もお取引が途切れてしまっていた翻訳会社の方から突然ご連絡をいただいたものの、「できればツールを使ってほしい」とのことで新しい仕事につながる可能性が立ち消えになってしまったという一件も、そう思うきっかけになっていました。
 
「相手」を知らないことには、導入すべきなのか、今後の自分の目指す翻訳者像に合うか、実際に使うときの注意点は何かなどを判断できないと思っていたところに、今年の翻訳祭では機械翻訳やCATツールに関するセッションが多くあると知り、まずはこの機会に情報収集をしようと申し込みました。期待通り、さまざまな立場の方からツール/機械翻訳とは何かをうかがうことができました。ツールの実演や、各機械翻訳の出力結果を示しながら説明してくださるセッションもあり、翻訳祭前はほとんど知識がなかった私も、だいぶ具体的にイメージできるようになりました。
 
実際の仕事で触ってみなければわからない部分ももちろんあります。また、ツールを製作・販売している会社から翻訳会社やエンドクライアント(翻訳を発注する側)に向けてうたわれている便利さや効率のよさが、翻訳者(実際にツールを使う側)にとってもまったく同じように言えるのか、もう少し考えてみたいなと思うところもありました。いずれにしても、今後の動き方を考えるためのよい材料をいただきました。
 
ツールや機械翻訳関連のほかにも、個人の方々によるお話にとても刺激を受けました。
 
さきのさんの「知っておきたい翻訳史」、大島先生の「近世日本のオランダ語翻訳事情」では、歴史の流れのなかで文化や社会の一部として翻訳を客観的に見る楽しさを味わいました。
 
宮原さんの「ビジネスプランは十人十色」では、仕事・家事・育児で日々いっぱいいっぱいななかでも、少しずつ前進して自分が目指す翻訳者になるためにどうやって動くか、具体的なヒントを教えていただきました。実際に、宮原さんのお話をうかがった後に商工会議所に行って地元企業についての情報を仕入れ、新たな挑戦をするために小さな一歩を踏み出すことができました。
 
朱宮さん、あきーらさん、井上さんによる「翻訳者のキャリアとライフステージ 」では、お三方ともかなり突っ込んだところまでご自身の人生を共有してくださり、個人翻訳者の方と久しぶりにじっくりお話しできたような気持ちになりました。個人的には、モデレーターをしてくださっていた舟津さんの翻訳者としてのお話もくわしくうかがってみたいなと思いました。
 
全部は書き切れませんが、どの方のお話も大変興味深く、たくさんメモを取りながら拝聴しました。
 
2週間にわたるプログラムのなかで特に印象に残ったのは、マーケットリバー株式会社代表の市川祐子さんによる『実践!Non-nativeでも投資家に伝わるIRの英語』というセッションでした。市川さんのお話を聞いて自分がどうしてこんなにわくわくするのか確認するために、アーカイブ配信期限最終日にも2回目を拝聴しました。うまくまとめられるかわかりませんが、次回の記事ではこのセッションについて感想を書きたいと思っています。
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