歴史と本と翻訳と ~つばめ翻訳~

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金原瑞人さん講演会

11月下旬、
地元の図書館主催の翻訳家・金原瑞人さんの講演会に行ってきました。

タイトルは「ジョン万次郎の頭の中と、日本語における横書きの発明」。

金原さんが去年翻訳された
ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」という本があったので、
大急ぎで読んでから聞きに行きました。

印象深かった点。
【ジョン万次郎について】
・ジョン万次郎は土佐弁をもとに英語を理解していたはず。
万次郎がアメリカ人と出会った当時は日本に標準語はなかった。

・上記の本を訳したときも、万次郎のせりふを土佐弁にするかで悩んだ。
(土佐弁で通すのは難しいので結局標準語に)

・万次郎は英語の読み書きを先に覚えた。
日本語の読み書きはアメリカから帰国してから。

・万次郎は晩年は東大で教えていたが、
もし武士の出だったら政府の中枢にいただろう。

【縦書き・横書きについて】
・現在縦書きが使われているのは日本と台湾のみ。
中国でさえも横書きが主流。

・日本で初めて出た英語読本は縦書きだった。

・横書きが生まれた経緯については諸説あり。

・ローマ字の生みの親ヘボンが作った日本初の和英辞典は横書き。
(横書きの英語が母語であるヘボンだったから
日本語を横で書こうと思ったのでは?と思いました)

・縦書きと横書きで小説から受ける印象は変わるか?
青空文庫の古典作品ならどうか?

【翻訳について】

・マンガを訳すときは、
縦書きのセリフを横書きにするのに合わせて昔は開きを逆にし、
絵も反転させていた。

・今は欧文と進行方向が逆でも変わらず受け入れられることがわかり、
日本語版と同じ開き・向きになっている。

・英語と日本語は一対一対応には絶対にならない

・I を「わたし」あるいは「あたし」とするのも、ある意味誤訳(ズレがある)

無力感はある

でも、『核』は伝わると思う

・言葉は20年でほとんど賞味期限がくる

訳し方・文体・表現はどんどん変わる

・自分には若い文体が書けない。
翻訳家としてはまだまだだけど文体が若い人に下訳をやってもらい、
チェックして完成させる

---
講演会に行く前は質問してみたいことがたくさんあったのですが、
当日金原さんが「今読んでいる本」として取り出したのが
梨木香歩さんの『冬虫夏草』で
「梨木さんの本が大好き」とおっしゃっていたので、
思わず梨木さんにからめた質問をしてしまいました。

英語と日本語は絶対に一対にはならないとのことだったけれど、
自身で翻訳も手がけている梨木さんがもし自分で自分の作品を訳したら、
その英語版は限りなく原作と近いものになるか、
もしくはやっぱり違うものになるか、どう思いますか。

これに対して金原さんのお答えは
「それは梨木さんでないとわからない。
ぜひ梨木さんを呼んで聞いてみてください」。
そりゃそうですね(ごめんなさい!)

でも、
「翻訳家はみんな楽観主義者。
なんでも訳せる!と思っているから、
訳せるんじゃないですか」
というコメントもいただきました。

翻訳家は楽観主義…
悲観主義っぽいところのある私、これからどうなるでしょうか。

金原さんは梨木さんと以前対談する話があったものの、
梨木さんが「会場が大きすぎる」と言われ
流れてしまったことがあったそうです。
「だから、少人数の会場で呼んでみてください」と
金原さんがおっしゃっていました。
図書館の方、ぜひ次回は梨木さん呼んでください!!


また、最前列に座っていた小学生の男の子の
「英語のダジャレはどうやって訳しているんですか」
という質問が秀逸でした。
金原さんも「難しいこと聞くなあ!」とうれしそうにうなりながら、
「以前は英語の形を活かしたダジャレを無理やり作っていたけど、
今は日本語としてのおもしろさをまず考えて訳している」
とおっしゃっていました(ちょっとうろ覚え)。

あと、この記事を書く前に検索して知ったのですが、
市内在住のライター奥田実紀さんも会場にいらしていたそうです。
私の愛する河出書房新社の「ふくろうの本」シリーズで
タータンチェック赤毛のアンの巻を執筆されている方です。
以前から市内に住んでいらっしゃることは存じ上げていたので
ぜひご挨拶させていただきたかったです。

質問された方の中には
「洋書を読む会をやっています」
という方もいらっしゃいました。
似たものが好きな人が、案外身近なところにいるのかも。

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