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スコットランドに住むイングランド人の思い

ブログ翻訳012
今回は5日後に迫ったスコットランドの独立を巡る住民投票について、
BBCの記事をひとつ選びました。


スコットランド独立
 ――スコットランドに住むイングランド人の思い――

2014年9月9日 0:20更新
By Vanessa Barford(BBC News)

スコットランドには約50万人のイングランド人が住んでおり、その大半はイギリス連合王国(UK)の維持を望んでいる。しかし世論調査では、4人に1人はスコットランドの独立に賛成票を投じる見込みであることが示唆された。307年に亘る連合に終止符を打とうと、熱心にキャンペーンに取り組んでいる人々もいる。

UKの他の地域で生まれたが、現在スコットランドに住んでいる人のほとんどが、住民投票で「No(独立反対)」を選ぶであろうというのは当然だ。多くの人は今も境界線の南側とつながりがあるからだ。

23歳のロイシン・ケイは独立に反対だ。ロンドンで育ったが、昨年5月に家族とともにグラスゴーに引っ越してきた。

「私の家族は全員スコットランド人で、父はグラスゴーの生まれです。ロンドンに住んでいたころは、休暇はいつもグラスゴーで過ごしていました。でも、私はハルにある大学に通ったので、友達はイングランドにいます。

スコットランドとイングランドには固い絆があるように感じているので、スコットランドにはUKに残ってほしいと強く思っています」とロイシンは言う。

同じく23歳のアニヤ・オシェイも同じように感じている。エディンバラ大学で学んだ後、スコットランドにとどまることを決めた。

「スコットランドに住むのはとても気に入っていますが、無意味な境界線のためにロンドンやマンチェスターの家族と引き裂かれるように感じるのは嫌なんです」とアニヤは話す。

ロイシンもアニヤも連合維持への思いが強かったので、独立反対のキャンペーンを始めた。

アニヤはまず大学でビラ配りを行なったと言う。そしてボランティアに登録し、1軒1軒家を回った。今は、連合賛成を訴える「Better Together(ベター・トゥギャザー)キャンペーン」のためにフルタイムで働いている。

「健康や教育や警察については、すでにスコットランドに委譲されています。それは良いことですが、より大きな物の一部である強さと安心感が私は好きなんです。独立にはたくさんのリスクや不確実性が伴いますが、スコットランドの家族はそれを望んではいません」(アニヤ)

アニヤはさらに、独立に関する議論はアイデンティティの問題だとする人々の意見に異議を唱えたいと言う。

「私の父はウェールズ人で、母はポーランドからの移民、そして私の名字はアイルランド系です。私にとって、ナショナリズムは時代遅れな概念です」(アニヤ)

世論調査は一貫して、イングランド、ウェールズ、または北アイルランド出身のスコットランド在住者48万人の大半が、9月18日に独立反対に投票する見込みであると示唆している。この日、スコットランドの有権者たちは「スコットランドは独立国家であるべきか」と問われることになる。

スコットランド出身者の「Yes(独立賛成)」の平均は47%であるのに対し、「イングランド出身者、UKの他地域(北アイルランド含)出身者、UKの他地域または北アイルランド出身者」の賛成派は25%であることが、Panelbase、YouGov、Ipsos MORI、ICMの世論調査に対するストラスクライド大学政治学教授のジョン・カーティスによる分析で明らかになった。

「UKの他の地域で生まれた人々は、英国人(ブリティッシュ)としてのアイデンティティが強い傾向があります。これは投票を左右する最大の要因のひとつです。ただし、経済も大きな要因です」とカーティスは述べた。

UKの他の地域出身のスコットランド住民の大多数は、スコットランドが連合にとどまることを望んでいるのかもしれないが、彼らの中には独立を強く支持している人もいる。

「English Scots for Yes(独立賛成派イングランド系スコットランド人の会)」の共同創設者マス・キャンベル=スタージェスはその1人だ。ケンブリッジで育ち、現在はグリーノックのスコットランド国民党議員である。

31歳の彼は「誇り高きイングランド人」だが、スコットランドに関する決定は、そこで暮らし働いている人々が下すのが一番だと話す。彼自身、18歳からスコットランドに住んでいる。

「独立は、住民自身による意思決定、公平性、平等性の問題です。私の地区では子供の3人に1人が極度の貧困の中で育っています。独立したスコットランドは、イングランドを導く光になれるかもしれません」とキャンベル=スタージェスは主張する。

スコットランド在住のイングランド系の人々の間には、未だに「自分たちが決めることではない」という空気がやや漂っているため、キャンベル=スタージェスは「スコットランドはあなたのふるさとであり、これはあなたの住民投票であって、あなたには自分の未来について発言する権利がある」と伝えることを目的のひとつとして、English Scots for Yesを設立したという。

同氏によると、English Scots for YesのFacebookのメンバーは現在約500人で、メッセージの読者は約3,000~4,000人にのぼる。メンバーは討論集会に出席し、街頭のブースでPR活動を行い、スコットランド各地の独立賛成運動に参加してきた。

「私たちの中には生粋のイングランド人もいれば、スコットランド人同然という人もいます。10代のメンバーも70代後半の参加者もいる、非常に包括的なグループです」(キャンベル=スタージェス)

メンバーの1人に、エディンバラ出身の31歳の家具職人ロビン・ホーンがいる。父親がアバディーンの石油産業で職を得たため、12、3歳のときにスコットランドに引っ越してきた。

ホーンはUKの政治システムの「不均衡を正す」ために、独立が選ばれてほしいと言う。

「私には居心地の良い状況から変化が生まれるとは思えません。スコットランドの独立が最も効果的な起爆剤となるのではないでしょうか」(ホーン)

ホーンは「ナショナリズムについての議論は間違っていると示したい」とも考えている。

「賛成派・反対派のどちらでもナショナリズムが言われていますが、おかしなことです。この問題はイングランドにいる人々には関係ありません。私はイングランド人であるのと同じくらいスコットランド人であるとも感じ、どちらの国も愛しています。問題になっているのは政治構造なのです」(ホーン)

ホーンから見れば、スコットランド住民投票は平和的に独立を獲得するための「極めて異例な」機会であり、すべての人がこれを利用すべきだと言う。

キャンベル=スタージェスによると、English Scots for Yesでは、有権者を「紅茶とケーキでもてなしながら」独立賛成に投票するよう説得する試みを住民投票まで続けていくという。

「すべての家を訪問して活動することはできませんし、紅茶を飲みながらステレオタイプを笑いにすればちょっと楽しいだろうなと思ったのです」(キャンベル=スタージェス)

しかし、投票結果が独立反対になったらと考えると笑い事ではない。「イングランド、スコットランドのどちらにも失望すると思います」(キャンベル=スタージェス)

だが、独立賛成となればロイシンの方は失望することになるだろう。

「生活費が上がり、職を得るのがさらに難しくなるようであれば、ロンドンに帰るかもしれません」(ロイシン)


出典
筆者 BBC NEWS Vanessa Barford
BBC NEWS Scottish independence: How do the English in Scotland feel?
http://www.bbc.com/news/uk-29052665
2014/9/13アクセス
Copyright BBC All Rights Reserved.


訳したきっかけ
記事利用の了承をいただいているBBCで記事を物色していて、
やはり今はこの話題だろうなあと思い、選びました。

さまざまな報道、世論調査、意見や分析がネット上にありますが、
その中で「スコットランドにいるイングランド人」にスポットを当てているのがおもしろいなと思い、
訳すことにしました。
政治家の公的な動きが取り上げられやすいですが、
市民レベルではどんな動きがあるのかに興味があります。

訳してみて
・政治的なこと、歴史歴なことが追いきれていなくて
この住民投票についての理解も十分ではないのですが、
境界線をまたいで多くの人が動いているゆえの難しさがあることが
この記事を読んでよくわかりました。

出自がイングランドで現在はスコットランド在住という同じ立場の人同士でも考えが違うし、
生まれも育ちもスコットランドという人同士でも、
勤め先や家族構成などの違いでやはり様々な考えがあるのだろうと思います。

今回はスコットランド在住者に投票権があり
スコットランド生まれでもイングランドに住んでいる人は対象にならないようで、
またそこにも人々の葛藤があるような気がします。

・England, Britain, UK (the United Kingdom), the union、イギリス、英国の違い
→「違いがあるから使い方に要注意」ということはわかっているのですが、
改めて訳してみると自分の中の知識が本当に曖昧でした
辞書にもネットにも色々な説明が載っているのですが、
Wikipediaのこちらのページに載っていた下記の図が一番わかりやすかったように思います。
Terminology of the British Isles より

300px-British_Isles_Euler_diagram_15svg.png

一般的に日本語で「イギリス」というときには、
上の図の一番大きな「British Isles」をなんとなくイメージしていることが多いような気がします。
ブリテン島とアイルランド島をいっしょくたに、
「あそこに浮かんでいるふたつの島辺り」といったような。
「イギリス」という言葉をそのまま使うのは
この記事ではちょっとふさわしくないように思い、今回は避けました。

反省点・課題
・やっぱり速さ。
ブログ翻訳は完全なる趣味なので、調べものも心ゆくまでやってしまいます。
仕事で訳している時は、納期の恐怖とお金をいただけるという人参のおかげで
思いもかけないスピードが出たりいい言葉がひらめいたりするんですよね。
やはりそれは仕事ならではだと思います。

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