歴史と本と翻訳と ~つばめ翻訳~

個人事業者つばめ翻訳。翻訳をめぐるあれこれを書いたり、海外記事を翻訳したりしています。

三谷さんのエッセイ ―「絵を描く」こと―

夫につられて見始めた「真田丸」がおもしろいので、
三谷幸喜さんのエッセイを図書館で探したら、
ちょうど「大河な日日」という1冊がありました。

1824.jpg
(画像は版元よりお借りしました)

軽妙な語り口で、気分転換にぴったり。
自主的に休養日にした午後に、一息に読みました。

三谷さんの描写は細かくてユーモラスで、
読んでいるとその人の動きが頭に浮かんできます。

例えば、こんな場面。

「特に目を引いたのが佃煮の蓋の瓶を思わせるミニミニシンバル。
これは二つをぶつけて音を出すのだが、
チーンとやった後に、必ず空気をかき回す仕草が入る。
そうやって音の余韻に微妙な強弱をつけているようだが、
それがお箸についた納豆の糸を払っているみたい。」
(P51-52)

空中に広がっていく音を拡散するように、
すばやく軽やかに腕を動かしている様子が浮かびました。

こんなにイメージしやすい文章を書くなんて、さすが三谷さん、
と思いながら読み進めていると、別のページにこんな一文がありました。

「小説家と違って、僕たち映像の人間は、
すべてを具体的に表現しなければならないので、
まずビジュアルで考えるのだ。」(P97)

脚本家が「ビジュアル」から入る仕事だと
今まで考えたことがなかったので、
新鮮な驚きを覚えました。


先日の翻訳シンポジウムでも、
「絵を描くのが大事」というお話がありました。

原文を読んで絵を思い浮かべること。
絵がうまくイメージできないときは理解がまだ足りない。

原文から思い浮かべたのと同じ絵を
訳文を読んだ読者が思い浮かべられるように訳文を書くこと。
それが過不足のない訳文。

言葉が好きで文字が好きで、この仕事をやっていますが、
翻訳者にも脚本家並みのビジュアル力が必要なのでした。
書かれている場面と、原著者の頭の中をイメージする力。
難しい…!

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村

にほんブログ村 英語ブログ 英語学習者へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する