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中世のペットの名前

ブログ翻訳003
今回は中世の動物に関する記事です

ペットの話は古今東西を問わず人気のようで、
MEDIEVALISTS.NETではこの記事にアクセスが殺到してサイトがダウン。
管理者ピーターさんはEARLY MODERN ENGLANDに同じ記事を掲載し直したそうです。

原文に意味が書かれていない名前には、文末におまけで意味を記載しました。

2013/7/25リンク修正、画像&おまけ2追加


中世のペットの名前
中世の人々は、犬、猫、鳥、猿などさまざまな動物をペットとして飼っていた。狩りやねずみ捕りをさせるために飼われることも多かったが、多くの記録からペットと飼い主のあいだの深い愛情が伝わってくる。

中世の様々な文書や書物のあちこちに、人々がペットに名前をつけていたことが記されている。

中世の犬の名前
英国でつけられていた犬の名前には、スターディ、ホワイトフット、ハーディ、ジャケ、ボウ、テリーなどがある。ヘンリー八世の妃のひとりアン・ブーリンの愛犬の名はパーコイだ。何にでも興味を持つ犬だったので、フランス語の“pourquoi”(なぜ?)という言葉から名前をとったという。
medievalpetnames-300x246.jpg

ジェフリー・チョーサーの『尼院侍僧の話』には、コル、タルボット、ゲルランドという名の三匹の犬が出てくる。ヨーク公エドワードが15世紀初頭に著した『狩猟の達人』には、犬の世話の仕方や狩猟での扱い方が書かれているほか、エドワードが猟犬にふさわしいと考えていた1100の名前が一覧になっている。一覧には、トロイ、ノーズワイズ、エイミアブル、ネイムレス、クレンチ、ブラッグ、リングウッド、ホルドファストなどがあった。

一方、スイスには1504年の狩猟大会に参加した80匹の犬の一覧が残されている。その一覧から、もっとも人気があった名前はフュルスト(侯爵)であることがわかった。ほかには、ヴィーナス、フォルトゥナ、トゥルグクなどの名前があった。飼い主の職業にちなんだ名前をつけられた犬もいた。ヘンメリ(小さなハンマー)は錠前屋の犬の名前、シュパイヒリ(小さな車輪の輻)は御者の犬の名だ。

14世紀フランスの騎士ジュアン・ドゥ・スールの猟犬の名はパーシヴァル、彼の妻の犬はダイアマンといった。ルネサンス期の哲学者レオン・バッティスタ・アルベルティは、愛犬の父犬の名をメガストーモ(大きな口)と記している。1444年から1478年にかけイタリアのマトンバを統治したルドヴィーコ三世・ゴンザーガは少なくとも二匹の犬を飼っており、その名前はルビーノとベリーナだった。ルビーノが死ぬと、ルドヴィーコは柩に納めて葬るよう指示し、墓石を建ててやることも忘れなかった。高名なイタリア人女性であり、同じくマトンバの統治者であったイザベラ・デステは、多くの小型犬を飼っていたことで知られている。そのうちの二匹の名はアウラとマミーアだった。
Cat_and_Dog-300x373.jpg

さらに、ギヌフォールという名の聖なる犬の物語もある。13世紀のステファン・ドゥ・ブルボンの記録によると、フランスの町リヨン近くの農民たちがギヌフォールという犬の墓に祈りを捧げ、その犬が幼い子どもに奇跡をおこすと話していたという。ステファンが農民たちに話を聞いてみると、次のような物語があることがわかった。

 あるお城に領主が奥方とあかんぼうと住んでいました。
 ある日、領主と奥方と乳母はあかんぼうをゆりかごの中に残し、みな出かけてしまいました。そこに巨大なヘビがやってきて、あかんぼうのいるゆりかごにまっすぐ向かっていきました。留守番をしていたグレイハウンドがそれに気がつき、すぐさまゆりかごに駆けつけました。犬はヘビを追って下にもぐりこみ、ゆりかごをひっくり返すと、するどい牙でヘビに襲いかかり、何度も何度も噛みつきました。ついに犬はヘビの息の根を止め、ゆりかごから離れた場所にヘビを投げ捨てました。ゆりかごも犬の口も頭も、ヘビの血で真っ赤に染まっていました。犬はヘビにあちこち打たれたゆりかごのそばにじっとたたずんでいました。
 帰ってきた乳母はこのありさまを見て、あかんぼうが犬に殺され食べられてしまったのだと思い、金切り声をあげました。その声を聞いて駆けつけたあかんぼうの母親も、同じように思い込んで叫び声をあげました。さらに駆けつけた領主も、やってくるやいなや同じように考え、剣を抜いて犬を殺してしまいました。三人はそこでようやくあかんぼうに近寄り、あかんぼうが傷ひとつなくすやすやと眠っていることに気がつきました。さらに辺りを調べてみると、犬に噛み裂かれたヘビが死んでいるのが見つかりました。三人はそのとき、本当はなにがあったのかを悟ったのです。
 三人は忠実な犬を理不尽に殺してしまったことをはずかしく思いました。領主たちは城門のまえの井戸に犬の亡骸を埋め、その上にたくさんの石を積み、犬の行いを称えて近くに木を植えました。


ウェールズにも、ルウェリン・アプ・グリフィズ公の忠犬ゲレルトに関する同じような伝説が残っている。

ステファン・ドゥ・ブルボンの資料をもっと読む
(リンク先は英語です)

中世の猫の名前
中世英国では、イエネコのことを総じてジブ(ギルバートの略称)と呼んでいた。この名はペットとして飼われている猫の名前としても人気があった。一方、フランスでの飼い猫の総称はティバースやティバートだった。ティバートは動物寓意詩『狐物語』に登場する猫の名前である。
medieval-cat-522x500.jpg

このほかには、13世紀にビューリー修道院の近くをこっそりうろうろしていた猫はマイト、16世紀にジョアシャン・デュ・ベレーに飼われていた灰色の猫はビロードと呼ばれていた。イザベラ・デステは猫も飼っていて、マルティーノと名付けていた。アイルランドの古い法律文には猫の名前がいくつか見られる。ミーオ(小さなミャオ)、Cruibne(小さな足)、ブリーナイ(小さな炎。オレンジ色の猫だったのだろう)、グラスネンタ(グレーのイラクサ)などだ。9世紀のアイルランドの詩には、パングルバン(白い毛織工)という名の猫を飼っている修道士が登場する。詩はこんなふうに始まる。

 わたしと猫のパングルバンは
 「これぞわたしの仕事」と勇み
 猫はよろこび鼠を狩って
 わたしは夜更けに言葉を探す


パングルバンの詩の全文を読む
(リンク先は英語です)

アルトワ伯ロベール二世のペットの狼についての記事はこちら
書籍The Beast Within: Animals in the Middle Agesについての記事はこちら
(リンク先は英語です)

参考文献
An Environmental History of the Middle Ages, by John Aberth (Routledge, 2013)
The Medieval Natural World, by Richard Jones (Harlow, 2013)
Medieval Pets, by Kathleen Walker-Meikle (Boydell, 2012)
Medieval Dogs, by Kathleen Walker-Meikle (London, 2011)
Medieval Cats, by Kathleen Walker-Meikle (London, 2011)


(おまけ)
スターディ(がっしりした)
ホワイトフット(白い足)
ハーディ(勇敢な)
ジャケ(ジャケット)
ボウ(相棒)
テリー(部族の力)

コーレイ(若い生き物)
タルボット(破壊の使者)
ガーランド(槍の土地)

トロイ(古代都市トロイ)
ノーズワイズ(鼻利き)
エイミアブル(かわいらしい)
ネイムレス(名無し)
クレンチ(食いしばり)
ブラッグ(元気な)
リングウッド(レグニ族の森)
ホルドファスト(がっしり抱え込む)

ヴィーナス(愛と美の女神)
フォルトゥナ(運命の女神)
トゥルグク ? (ニヴフ語?)

パーシヴァル(アーサー王伝説の騎士の名)
ダイアマン(ダイヤモンド)
ルビーノ(見守る+息子)
ベリーナ(美しい)
アウラ(そよ風の神)
マミーア(真珠のような)

マイト(ちび)
ビロード(褒める)
マルティーノ(軍の神マルスのような)

辞書になかった名前はネットを主に参照しました。
できるだけ本来の語源・意味・音を探しましたが、どうしてもわからなかった名前もありました。
誤りなどありましたらぜひご指摘ください

(おまけ2)2013/7/25追記
『カンタベリ物語』の先行訳では犬の名前の表記がどうなっているか見てみたところ、
ちくま文庫の西脇順三郎さん版では
なんと「八公」と「熊公」になっていました!!

雄鶏と雌鶏の名前はカタカナ表記なのに急に和風になってしまったのは、
犬たちがちょい役だったからでしょうか。
かなうなら名前決定までの経緯をお聞きしたかったです
歴史っておもしろいな~。
参照:カンタベリ物語(下) G.チョーサー作 西脇順三郎訳 ちくま文庫 1987年
    The Canterbury Tales and Other Poems by Geoffrey Chaucer プロジェクト・グーテンベルク

出典
管理者:Peter Konieczny and Sandra Alvarez
MEDIEVALIST.NET "Medieval Pet Names"
http://www.medievalists.net/2013/06/23/medieval-pet-names/
2013/7/25アクセス
※画像もMEDIEVALIST.NETよりお借りしています。
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